2014年3月13日木曜日

3/13 ああ無情。


●まだDVDプレイヤーを持っていなかった頃、出演作品や関連の映像作品をVHSのビデオテープでもらうことがよくあった。

「Le MiseLable」も、そんな作品のひとつである。

タイトル聞いて有名なミュージカル作品を思い出すかもしれないが、アレとは全然関係ない作品だ。

参加したのは俳優養成所をそろそろ辞めようかな?と思っていた時期だった。正確な時期は定かじゃないけど同じくらいの時期に映画「ドラゴンヘッド」を観たので、たぶん2003年ごろのことだと思う。

最初に監督のWさんのサイトを見つけてメールを送り、数日後に池袋で面会。

東京外国語大学を出られており普段は翻訳仕事で生活しているという人物。年齢は30代くらいだったろうか?ポッチャリした体型で甲高い声で早口でしゃべる・・・とても個性的な印象の人だった。

喫茶店の片隅で聞いた作品のコンセプトは実に壮大なものだった。現代の日本を舞台としたサスペンススリラーで、最初に10本の短編を制作し、その10本を元に後に長編作品を作るというもの。

「どうですか?」と聞かれたが断る理由などひとつも無いので出演を承諾。

一ヵ月後くらいに撮影日を迎えた。

撮影現場は新宿の喫茶店で店舗の奥まったところにあるパーティースペースを「宴会」と偽ってレンタル。私は確か心理カウンセラーとか?そんな役だったと思う。

自分の出番じゃない時は廊下に出て店員の動きを見張っているという(なにせ撮影禁止の場所を宴会と偽って借りたので)実にスリリングな現場だった。

いわゆる「自主映画」というものの初体験で”なんかショボイなー”というのが正直な感想だった。
けれど、それは決してつまらなかったというわけでは無い。養成所でチャンスも無くくすぶっていた自分には、大勢の人間と共に創作の現場に立ち会うという体験は規模に関係なく幸福な体験だった。

最終的に短編の10本は完成したが、なかなか上映場所が決まらなかったようで、なぜかよくわからないけど私の出演した短編は青森の映画館で単館上映。

その後Wさんは脚本のみに専念することになり長編のほうは別の人が監督することに決定。

ネットの募集によって集まった3人の監督が候補となり、それぞれがまた短編を制作。

3本の短編は池ノ上の上映スペース「シネマボカン」で上映され、見ていた客が良いとおもったものに投票。一番票を集めた監督が長編のほうを監督するという話に。

その投票上映会には私も参加したが、3本のうちの1本に度肝を抜かれるぐらいの良作があった。
その人の作品に投票したんだけどね・・・。

そんな状況とほぼ同時期にWさんの個性的なライフスタイルが目に止まりテレビ朝日のバラエティ番組「銭形金太郎」に出演(ようするに凄い貧乏だったのだ)。番組内にて撮影風景なども流された。

あー。これなんか凄い良い流れじゃね?とテンションがあがりまくりだったのだが、話はここまで。


Wさんが作品関係者に金を騙し取られたとかなんとか、という話で計画は急速に収縮。

そのまま音信不通になってしまった。


10本の短編の予告を集めたビデオ(冒頭の写真のもの)のパッケージの裏には20人ほどの出演者の顔写真が載っている。

そのうちの1人、金倉浩祐さんは今でも活動されているようで2010年には「scope」という映画で主演もつとめられている(ちなみに私は、この映画のオーディションを受けたが落ちた)。後の19人は今どうしてるんだろう。まだ活動してるんだろうか?

ビデオデッキは壊れていて、もうビデオを見ることはできないのだ。

ちなみに監督のWさんは名前をネットで検索すると、何年か前のVシネの脚本家で同姓同名の名前がヒットする。同一人物なんだろうか?

Wさん。お元気ですか?

私はあいかわらずもがいてますよ。



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